小説を載せていく。(世界最後の一日1)
【ヘタリア】世界最後の一日
これは、日丸屋秀和氏による、AXIS POWERS ヘタリア、の二次創作品です
実際の団体、国、登場人物とは関係ありません
一般の方にこの作品を見せることはやめて下さい
複製、転載、オークション出品などは固く禁じています
以上のことを踏まえて、ご閲覧ください
・・
もし明日が世界最後の一日だったら、あなたはどう過ごしますか?
そんな問いをあなたは聞いたことがあるかもしれない。
友達と過ごす。
家族と過ごす。
恋人と過ごす。
色々な答えがある中、あなたは一つの答えを出さなければならない。
しかし、技術は進化した。そんな答えのほかに、「地球を脱して違う星へ行く」という答えも可能なのだ。
だがしかし。
国の場合どうするのか?
その地に生きつく国は、違う星になんか行けない。
たとえそれが人の形をしていても、だ。
これは、そんな彼らのお話し。
・・
2×××年。
それは唐突にやってきた。
「地球は明日終わります。人民の皆さんは、今すぐにでも地球を脱してください。」
いつもの冷静さはなく、早口でアナウンサーが告げた。
さっきから何度も何度も。
外ではサイレンが鳴っている。
『緊急避難警告、大』
もう逃げ惑う人々の姿は見えなかった。何時間も前から避難を始めていたのだ。
そんな中、俺、イギリスは一人静寂の中紅茶を飲んでいた。
もう午後だ。アフタヌーン・ティーを決まった時間にたしなむのが、紳士ってもんだろ?
余裕な表情を装ってはいるが、心の中は荒れていた。
どうして俺らだけ。
死が決まっているのに、ここに留まる理由は?
分かっているはずなのに、そんな文句にも似た何かが胸の中で渦をまく。
そう、それは昨日の事だった。
・・
「明後日、地球が終わる・・・!?」
誰がそう言ったのかは分からない。
ただ、誰もがそう思っていたのは気づいていた。事実、皆はそれぞれに抗議した。
「国民は・・・」
「土地は・・・」
「逃げるのか・・・」
「行く星は・・・」
まさに鶴の一声だった。
「静粛に!!」
そう大声で、議長国であるアメリカは言い放つ。
「国民は、火星に向かう。一番生存できる可能性が高いからだ。土地は捨てることになる。」
そこで、アメリカは口をつぐんだ。
これはアイツの癖だ。なにか不都合なことがあると、いつもこうなる。
「アメリカ、続きを話せ。」
そう、俺は言った。
「イギリス・・っ」
なにが言いたいかは分かる。でも、先を言わないとこの会議が進まない。
最後になるであろう会議が。
「いいから話せ!」
さっきよりも強く問う。
「俺ら国は・・・・ここ、地球に残れという命令が出た・・・。」
言い切ったあと、アメリカは強く唇を噛みながら、「shit!」と吐き捨てた。
眩暈がした。
そんな気はしていたが、いざ口に出して言われると、すごく辛い。
騒がしかった会議室は、一気に静かになった。
今日はもう終わるんだぞ、というアメリカの一言で、今日の会議は幕を閉じた。
・・
さて、明日は地球最後。どう過ごすか考えてみよう。
テレビを見てもいいし、本を読むのもいい。
パソコンをつけて、気になるニュースを調べてみるのも面白いだろう。
いや、やめた。
しばらく考えてから、俺は椅子に掛かったジャケットをとると、袖に腕を通した。
飛行機はもう使えない。人がいないからだ。
では自家用ヘリで移動するとしよう。
かなり前だが、免許もとった。皮肉なことに、このような事態になるのに備えるためだ。
久しぶりに乗るから緊張する。
レバーを引いて、エンジンをかけた。
しばらくカタカタと音をたてた後、前進する。
フワッと機体が浮くのが分かった。
目の前に広がる景色は壮大で、思わず感嘆の声を漏らす。
「この光景、日本にも見せたかったな」
呟いたあと、一人で赤くなる。
どうして日本のことを考えてしまったのだろう。
気が付くと、航空路は「日本」になっていた。
自分の考えに若干赤面しながらも、俺は戻らずにその道を飛んだ。
・・
そういえば前、日英同盟で日本に来たときに、アメリカがジェットで日本の家に押しかけ、困らせていた事があった。
懐かしい思い出に、思わず笑ってしまう。
驚いた、さっきまでもやもやしていた心が急に軽くなる。
明日、本当に地球が終わるのだろうか。
ふと、下を見た。
人はもちろん居ない。
本当にここは昨日まで賑わっていた場所なのかと疑いたくなる。
もう少ししたら日本の家だ。
そういえば、紅茶の茶葉を持ってくるのを忘れた。
いつもだったら電話をしてアポを取って、どんな茶葉がいいか聞いてから出発するのだが、今日は特別、ということにしよう。
明日何もかも終わるのだから。
今まで『世界の終わり』なんて飽きるほど聞いてきた。
その時はいつも、誰かいた。必ず。
それはフランスだったり、アメリカだったり、複数と居たり。
これはその延長線だろうか。
だが明日は本物の『終わり』。
もう確認もとれている。
どうしようもない現実。
避けられない現実。
受け入れるしかない現実。
それがあるのなら、俺は日本と過ごしたい。
ずっと考えてきたことではない。
ただの直感。直観。
それが俺を動かした。
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飽きずに続きますw
もし明日が世界最後なら、というお話です。
作・新山由宇
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